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【空き家の処分に悩む】

~買い手、借り手見つからず~

空き家が増える中、相続して苦慮する例も目立てきた。

売却や賃貸ができないことも多く、相続人で金銭を分けるのが難しいからだ。

親族間で対立することもある。

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愛知県内の無職の男性(66)は、空き家となった実家の処分で困っている。

父親が20年以上前に亡くなり、姉妹2人とともに相続。

だが、男性ら3人とも自宅があるため、実家には戻らなかった。

相続登記はしておらず、名義は父親のままだ。

 

男性は高齢になり、管理が難しいため、今年3月、建物を解体して土地を売ることにした。

解体業者と不動産仲介業者にそれぞれ、解体費や売却価格の見積もりを出してもらった。

土地の前を通る道路の幅が狭く、住宅を新たに建てるには不向きで、売却しにくいことが分かった。

買い手がついても、200万円ほどの解体費がまかなえない。

 

2人の姉妹は自己資金の負担のある解体には反対し、男性と意見が対立。

男性は今後、処分をどう決めたらいいか、迷っているという。

 

住宅関連の除法サイトを運用するクラッソーネ(名古屋市)が昨年12月に開設した無料窓口「空き家活用の匠」には、空き家の相談を巡って、こうした相談が寄せられている。

社長の川口鉄平さんは「人口減少が進む地方では、空き家を相続したものの、買い手や借り手が見つからず、相談してくるケースも多い。金銭で分けることができず、処分法を巡ってもめる一因になっている」と指摘する。

 

中には、数代にわたって財産分割を行わず、相続人の数が膨れ上がったケースも。

 

中部地方のある会社員の男性(29)は8月、長崎県内のある市役所から封書を受け取った。

市内の空き家を調査した結果、そのうち一件は、昨年亡くなった父親の祖父名義のままで、男性も数十人いる相続人の一人になっているという。

封書には「放置したままで、近隣からクレームが来ている。対応してほしい」と書かれていた。

「空き家のある場所に行ったこともなければ、存在すら知らなかった。寝耳に水」と、当惑を隠せない。

 

「相続人が多いと、お互いに面識がなかったりして、処分方法の結論が出るまで時間がかかりやすい」と川口さん。

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日本司法書士連合会(東京)が8月に行った電話相談にも、全国から377件の相談が寄せられた。

「ただでもいいから手放したい。自治体に寄付を申し出たが、断られた」といった相談もあった。

 

相続してから3か月以内なら、相続人全員で家庭裁判所に申し立て、相続放棄する例もある。

ただ、この場合、空き家だけでなく、預貯金などほかの財産も放棄することになる。

住宅ローンが残っていれば、金融機関の申し立てで、家庭裁判所が選任した「相続財産管理人」が、空き家の売却を目指す。

申し立てがなければ、相続放棄しても管理責任は残る。

 

同連合会理事の峯田文雄さんは「空き家を放置すれば、近隣に迷惑を及ぼすことになる。適正に管理したり、処分したりするのは相続人の責任といえる」と話す。

 

 

読売新聞:平成27924()