「どこの住宅ローンも割安だけど、決め手は金利だけじゃないわ」。

千葉県船橋市に住む50代の主婦はイオン銀行で2000万円弱の住宅ローンを借り換えた。

 

~実質マイナスに~

イオン銀の住宅ローン金利は3年固定でわずか0.38%。

メリットはそれだけではない。

ローンを契約すると、イオンの系列店などでの買い物が5年間、5%引きになる。

毎月2回の「お客様感謝デー」はそこからさらに5%引きだ。

 

どれくらいお得なのか、実際に記者が計算してみた。

期間35年、3年固定で2000万円借りると、初年度の利息は約7万5000円。

仮にイオンで1年間90万円の買い物をして半分が「感謝デー」だと、割引額は年6万6000円強だ。

 

これを7月までにネットで入会したイオンのカードで払えば、現在は1万円強のポイントがたまる。

割引額とポイントの合計が利息を上回り、初年度は実質マイナス金利で借りられる。

 

日銀がマイナス金利を導入した2月、イオン銀の住宅ローンの事前申請件数は過去最高の約1万件に膨らんだ。

「マイナス金利政策で注目が集まり、ネット経由の申し込みが殺到した」(同行担当者)。

 

マイナス金利は銀行の収益を圧迫する。

だが、一方で新たな顧客を取り込む好機にもなる。

 

都内に住む30代の男性会社員は銀行担当者の言葉に耳を疑った。

訪れたのは三井住友信託銀行。

超低金利の住宅ローンで新規顧客を獲得してきた銀行だ。

現在も10年固定で年5.0%と大手銀行で最も低い。

彼が驚いたのは金利水準ではない。

「条件次第でもっと金利が下がりますよ」。

 

住宅ローンと同時に、30万円の定期預金、証券口座、小額投資非課税制度(NISA)口座の3つを申し込むと、金利が0.01%ずつ合計0.03%下がった。

彼は「どれも損をする条件じゃないから、迷わず契約しました」と満足顔だ。

 

~効果向上に知恵~

自動車ローンはどうか。

都内の自動車販売店に聞いてみた。

 

 

英系のジャガー・ランドローバージャパンは6月末まで金利を1%未満に抑えるキャンペーンを展開。

昨年秋に発売した4ドアセダン「XE」は年0.99%、認定中古車の場合は年0.39%でローンを組める。

 

仏系のプジョー・シトロエン・ジャポンは2月下旬からの1か月限定で年2.99%の金利をゼロにするキャンペーンを実施した。

約3割の顧客がローンを組むが、キャンペーン期間中は約5割に高まったという。

 

超低金利ローンは新たな顧客を取り込むツールになる半面、ブランドイメージを損なうリスクもある。

起業は期間限定や中古郵船など、マイナス金利時代に最も効果が大きい方法を見つけようと知恵を絞る。

 

マイナス金利の登場は国民や企業に全く新しい目利き力を求める。

マイナス金利が経済を押し上げる切り札になるか、それとも混乱を引き起こすだけか。

日銀が明けたパンドラの箱の帰結はまだ見えてこない。

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日本経済新聞:成28620()