住宅価格を大きく左右するのは、金利、地価、建築費の3つ。

地価は上昇基調にあり、建築費も高止まりが続いているが、住宅ローンは史上最低金利を更新。

総合的に見れば、住宅購入や建て替えには、非常に良い環境が整っている。

そのチャンスを最大限生かすにはどうすればよいのか。

 

~フラット35の金利が初めて1%以下に~

住宅価格を取り巻く現在の状況を不動産経済研究所の主任研究員・松田忠司氏は「買いやすい環境であることは間違いない」という。

「最も大きな理由は低金利です」

 

住宅ローン金利は、長い間、低い状態が続いているが、ここにきてもう一段、水準が低下している。

背景には日銀のマイナス金利政策がある。

固定金利選択型や全期間固定型といった固定金利型の住宅ローン金利は、長期金利の影響を受ける。

マイナス金利によって長期金利が下がっているため、巡り巡って住宅ローンの金利が下がっているわけだ。

 

長期固定金利型の代表的な住宅ローンの「フラット35」は、最低金利を更新している。

金利は返済期間や取扱金融機関によって異なるが、返済期間21年から35年に適用される最低金利は6月の1.1%から0.17%引き下げられ0.93%となった。

金利が1%切るのは2003年10月に「フラット35」の取り扱いが始まってから初めてのこと。

 

銀行の住宅ローンの金利も下がっている。

メガバンクでは固定金利期間選択型10年の金利が7月適用分で1%以下の水準となっている。

 

住宅ローンは返済期間が長くなることが多いだけに、金利水準は返済額への影響が大きい。

例えば、3000万円を返済期間35年で借りた場合、金利が2%であれば、毎月の返済額(ボーナス返済なし)は、約9万9400円となる。

これが金利1%の場合では約8万4700円だ。

毎月1万5000円程度の差が出る計算だ。

これを35年間の返済期間で見ると、600万円以上の差となる。

同じ金額の物件を購入しても、返済額にこれだけの差が出れば、購入後のライフプランに大きな差が出るはずだ。

 

この傾向は、しばらく続きそうだ。

日銀は物価上昇率2%を目標に掲げているが、達成にはなお時間がかかる見込み。

それまでは金融緩和を続けざるを得ない。

住宅ローン金利もその影響で当面は低水準が続くだろう。

 

~建築費は高止まり:地価は上昇基調に~

一方で住宅価格に大きな影響を及ぼすのが建築費だ。

東日本大震災の復興需要などで建築費は13年以降、大幅に上昇した。

「2年ほど急激に上昇し、今は高止まりしている状況です」(松田氏)。

 

それは建築費の指数として知られる建築工事費デフレーターを見ても明らかだ。

12年の10~12月までは下落しているが、13年の1~3月から急上昇している。

14年の半ばで上昇は止まり、直近では多少下がっているが、高止まりの状況は変わっていない。

 

地価も上がり基調だ。

7月1日に国税庁が公表した16年1月1日時点の路線価は全国平均で0.2%のプラスとなった。

上昇に転じたのは、08年以来8年ぶり。

 

ただ、都市部と地方で二極化が進んでいるのも事実。

東京都がプラス2.9%、大阪府がプラス1.0%であるのに対し、秋田県ではマイナス1.9%となっている。

 

「同じ都市部でも上昇が目立つのは、駅から近いエリア。少し駅から離れれば、上昇していない場所もあります」(松田氏)。

 

都市部で勝つ利便性の高い、人気エリアの不動産価格は、地価上昇の影響を大きく受けそうだ。

 

以上を考慮すると、地価や建築費の上昇で今後、住宅価格には多少なりとも上昇圧力がかかるだろう。

しかし、住宅ローンの金利の低水準の恩恵を受けて、状況はしばらく続く。

じっくり検討するにはよい時期となりそうだ。

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日本経済新聞:成28729()