そろそろ2019年の暮らしと経済がどうなるか気になるわ。消費増税は家計にどのくらい影響しそうなのかな? 景気はもっとよくなるのかしら? いつもは「クラブニッキィ」の会員2人が参加する「ニッキィの大疑問」。11月9日、会員中心に約40人を招き、セミナーを開いた。2019年の暮らしと経済について、前田裕之編集委員と田村正之編集委員に話を聞いた。 ――19年10月に予定される消費増税が気になります。 田村編集委員 19年の家計に最も影響するのは、やはり消費増税でしょう。今は8%の税率が10%になります。 今回の特徴は、外食と酒を除く食料品などは8%に据え置く軽減税率を設けること。様々な家計の負担軽減策も講じられる予定です。幼児教育無償化のほか、低所得層や子育て世帯に商品券を配る案などが出ています。中小小売店でクレジットカードなどキャッシュレス決済で買い物するとポイントを還元する案もあり、一時的に実質減税となるかもしれません。こうした対策で、増税の影響はいくぶん緩和されそうです。 軽減税率はとても複雑です。外食と持ち帰り商品の区分は混乱しそう。そばの出前や宅配ピザなどは8%ですが、自宅で調理してもらう出張料理は10%になります。 前田編集委員 家計への影響は思ったほど大きくないとの指摘もあります。家計調査から大まかに試算すると、税率引き上げの影響を受けるのは家計支出の6割ほどになりそう。軽減税率の対象となる食料品が支出の2割を占めるほか、家賃や学校の授業料などもともと消費税がかからない支出もあるためです。 民間シンクタンクによると1世帯の家計支出の増分は年3万~4万円台にとどまるとの試算もあります。日銀は、5%から8%に税率が上がった前回にくらべ、日本全体の家計支出の負担増は4分の1程度に抑えられると試算しています。給料が順調に上がれば、景気腰折れの心配は、前回ほどではなさそうです。 ――増税前に買ったほうがいいものはありますか? 田村編集委員 今回は、増税幅が小さいこともあり、駆け込みすべき大きな買い物はそれほどありません。 注文住宅は19年3月末までに契約、建て売りは同9月末までに引き渡しを終えれば税率8%です。でも住宅価格のかなりの割合を占める土地代には消費税がかかりません。個人が売り主となる中古住宅は建物も非課税です。 住宅ローン減税の延長・拡充も検討中。いまは都市部では住宅価格の上昇が目立ち、買い急ぐと逆に負担が重くなるかもしれません。車も税制優遇策が検討されています。 家電のうちパソコンやテレビは価格の季節変動が激しく、増税の影響が値下げで相殺される時期がありそうです。冷蔵庫など白物家電は値動きが小さいので、もともと買う予定の人は増税前にしてもいいかもしれません。 ――ほかには、どんなことが家計に影響しそうですか? 前田編集委員 5月の新天皇の即位と改元は、祝賀ムードや関連セールで、買い物したい気分になりそうです。 輸入品が値下げされる可能性も。環太平洋経済連携協定(TPP)が18年12月30日に発効します。参加11カ国のうち日本、オーストラリア、カナダなど6カ国で発効し、魚など一部の輸入品はすぐ関税がさがります。 店頭での値下げのほか、経済成長への期待もあります。政府は日本の国内総生産(GDP)が年間約8兆円押し上げられ、46万人の雇用が創出されるとみます。日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)も19年2月の発効を目指しています。 半面、米中貿易戦争は心配です。国際通貨基金(IMF)は、最悪の場合、20年に世界のGDPが0.8%押し下げられると試算します。企業業績に影響し、家計にも跳ね返る恐れがあります。 ――銀行の預金金利は低い状態が続くのでしょうか? 田村編集委員 当分は低いままでしょう。物価より預金金利が低い状態が続くと、預金の価値は目減りします。 2050年には女性の2人に1人は93歳、5人に1人は102歳まで生きるようになります。長寿化が進む中、老後資金が心配で消費が伸びないのも無理はありません。長期の資産形成を早めに考えるべきです。 これまで、世界の株式市場に長く分散投資し続ければ、世界経済の成長の恩恵を受けてしっかり資産を増やせたことがわかっています。 今は日本企業の業績は高水準ですが、円安で支えられた面があります。19年以降、さらに円安が進むかは不透明で来期の業績見通しに慎重な見方も出ています。株価も下がるかもしれません。ただ、株価が一時は下がっても分散投資をやめなければ、将来、資産を増やせる可能性が大きいのです。19年の株価はどうか、東京五輪が終われば……などタイミングを気にするより長期分散投資が大切です。 [日本経済新聞夕刊 2018年12月3日付]