与党の2019年度の税制改正大綱が発表されました。住宅ローン減税についても拡充案が出ていて、ライフステージの側面で住宅購入を考えていた人にとっては、制度の違いが気になるところかもしれません。適用される消費税率が8%と10%とでは、活用できる制度はどのように変わるのでしょうか。

■住宅ローン減税の拡充案、消費税率の上昇分を吸収も

既に施行されている住宅ローン減税の内容は、21年12月31日までに取得・居住した物件については、年末のローン残高の1%(上限40万円)が10年間、所得税や住民税から控除されます。

仮に年収700万円の夫と年収100万円の妻、未就学の子どもがいる家庭で、夫単独名義で4000万円のマンション(建物2500万円、土地1500万円)を、すべて住宅ローン(35年元利均等返済、金利1.5%)で購入した場合(モデルケース)、現行の住宅ローン減税で減税される金額は総額約350万円になります。

消費税10%で物件を取得した場合の住宅ローン減税の拡充案では、20年末までに取得・居住した場合、「建物価格の2%」か、「10年目までと同様に年末ローン残高の1%」、どちらか金額が小さい方を3年間、さらに控除される内容になっています。モデルケースでは建物価格の2%である50万円を、3年に分割してさらに控除が受けられる計算になります。土地には消費税がかからないため、控除が全額受けられたら、2%上昇する消費税率分が吸収できる計算です。

■すまい給付金の最大額は増え、受け取れる年収も上がる

すまい給付金については、消費税8%と10%で取得した場合の給付額の違いは、既に決まっています。消費税8%で取得した場合は目安年収が510万円以下の人は最大30万円、消費税10%で取得した場合は目安年収775万円以下の人は最大50万円の給付金を受けることができます。モデルケースだと消費税8%で取得すると、すまい給付金は受給できませんが、消費税10%で取得すると10万円の給付金を受け取ることができる可能性があります。

住宅取得のために親や祖父母から贈与を受ける場合、住宅取得資金の贈与に関する非課税措置も注目ポイントでしょう。20年3月31日までの取得の場合、消費税8%などであれば700万円、消費税10%であれば2500万円までの贈与を非課税で行うことができます(条件を満たす「省エネ等住宅」は、それぞれさらに500万円非課税で贈与可能)。援助を受けられる家庭においては影響が大きいですね。

■消費税率以上に物件価格や住宅ローンの変動の影響が大きい

制度的には消費税10%での取得の方が有利に見える要素が増えてきています。一方で、住宅取得においては消費税の税率よりも、物件価格そのものの変動や、住宅ローン金利の変動の与える影響の方が大きい可能性もあります。

不動産経済研究所の首都圏マンション市場動向によると、新築マンションの価格推移は消費税が5%から8%に上がった14年4月は4846万円ですが、その前月にあたる3月は5215万円でした。一概に、消費税率が5%の間に購入したいという駆け込み需要と、その後需要が落ち込んだことによる価格差ばかりとは言えませんが、約370万円と、物件価格全体の7%にあたる金額が変動している一例となります。

また、4000万円を35年返済で住宅ローンで借りた場合、金利が年1.5%と2%の場合だと総返済額が約420万円違います。

このように、消費税率による影響よりも、物件価格そのものの変動や、適用される住宅ローンの金利、あるいは、購入する物件の間取りやエリアといった自分で判断して選べる要素の方が、金額への影響としては大きなものになることが多いです。そのため、消費税率がいくらを適用されるかよりも、家計として適切な返済を行っていけるか、必要なスペックの物件なのかに、より注視して物件購入を検討するのがよいでしょう。

■19年3月末までの契約なら消費税率は8%

なお、それでも消費税率8%で取得したいという考えがある場合、「半年以上前に契約することの猶予措置」を知っておくとよいでしょう。

通常、消費税率は引き渡し時点での税率が適用されます。現段階だと19年10月以降に完成する物件やリフォームなどは、通常、消費税率10%となります。ところが、こうした完成までに時間がかかる物件やサービスは、半年前にあたる3月31日までに契約を完了していれば、引き渡しが19年10月以降になったとしても、契約時の消費税率である8%が適用される猶予措置があります。

適用される消費税率が8%であることにこだわる場合、19年3月末までに一定の判断をする必要があります。

2018/12/21 ファイナンシャルプランナー 風呂内亜矢氏 日本経済新聞社より