~日本では一部の買主が自己負担でインスペクション実施が現状~

 

インスペクションとは、住宅に精通した建築士等が、第三者的な立場から、また専門家の見地から、住宅の劣化状況、欠陥の有無等を現地で確認することで、それが一般的な仕事です。

また、既存住宅の場合は、改修すべき箇所等を指摘するなども状況応じて行う場合もあります。

 

つまり、不動産等の流通事業者が住宅取得予定のお客様に対して、住宅の購入前や、自宅の売り出し前にインスペクションを行うことで、建物の状態を把握し、安心して取引を行うことができます。

また不動産仲介業者が物件の状況を消費者に明らかにするために利用するケースも増えています。

 

こういった業界の流れが、今回の宅建業法の一部改正(平成28年5月27日成立)につながっています。

改正宅建業法の概要は、「媒介契約の締結時に建物状況調査(いわゆるインスペクション)を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面の依頼者への交付」となっています。

既存の建物の取引における情報提供を充実させるという狙いがあるものと思われます。

 

インスペクションの方法は、目視で、屋根、外壁、室内、小屋裏、床下などの劣化状態を診断するのが基本です。

機材を使用する詳細診断もあります。

つまり、インスペクションは、住宅の「内科のお医者さん」と考えてよいと思います。

 

先進諸国では工程ごとに複数回のインスペクションが確立され、一般的に行われています。

特にアメリカでは全体の70~90%と高い確率でインスペクションが行われています(ただし、州によって異なる)。

 

一方、インスペクションが一般化されていない日本では新築マンションの内覧会の際や中古住宅を購入する前に、一部の買主がインスペクションを自己負担で依頼する程度であるのが現状です。

 

~インスペクションの位置付け:健康診断御一時診断に相当~

インスペクションは、消費者が主に中古住宅を売買する前に、主に目視で住宅の状態を把握して報告するという業務として行われていますが、日本ではごく少数の事業者が建築士等に依頼して行っている程度です。

 

インスペクションは比較的短期間で、可能な範囲で行う「一次診断」であり、これを医療の面で例えるなら、「健康診断」のレベルといってよいと思います。

 

健康診断を受けた人は、診断結果についてまず、医師からの説明を受けると思います。

治療を必要とするほどでないものの経過観察が必要ということもあれば、精密検査が必要だと進められることもあります。

そして二次診断として精密検査を実施することになった人は、専門的な検査器具を用い、その分野の専門医療を行っている総合病院などで見てもらうことがあると思います。

 

つまり、住宅に関するインスペクションは、この最初の「一次診断」に相当します。

外壁や基礎に不具合の兆候はないか、室内に雨漏りの形跡はないかなどを目視で確認し、建物の状態を診断依頼者に報告するというものです。

またインスペクションではわからない項目で懸念があるものは、非破壊の調査機器を使用したり、部分的に破壊したりして二次診断を実施、今後の住宅の性能低下等の可能性を発注者に報告して、今後の対策を講じるために活用いただくことがインスペクション業務の役目です。

 

マイホームという一生に一度か二度の高い買い物だけに、費用をかけてもプロの目により安心・安全を得たいという人は今後増えていくと思います。

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