熊本県を中心に続く地震では、家屋の倒壊による死傷が相次いだ。

身を守るため住宅の耐震化を進めることが重要だが、大掛かりな工事を行わなくても比較的手軽に設置できる「耐震シェルター」もある。

 

耐震シェルターとは、家屋が倒壊したり家具が倒れてきたりした際、上からの荷重に耐えて中にいる人の命を守るための空間を確保する装置だ。

大きく分けて、就寝中の身を守るベッドタイプと、部屋をシェルター化できるタイプがある。

01
 

耐震補強工事の費用は、木造2階建ての住宅で150万円~200万円程度かかるケースが多いが、耐震シェルターは30万円前後から用意されている。

 

組み立て式ですぐに設置できるものが多いが、1~2週間の工事が必要なものもある。

古い家に一人で住んでいる高齢者やその家族が、「耐震補強工事をするほど経済的な余裕はないが、いざというときに最低限、命だけは守りたいと設置するケースも多い」(耐震シェルターメーカー)という。

 02

ベッドタイプは設置が楽だ。

新興産業(大阪府東大阪市)の「耐震ベッドシングル」(税抜き45万円)は上からの約65トンの荷重に耐えられるよう設置したという。

 

10銭近くの国産のヒノキの間伐材を柱と梁に用い、鋼板を加工した金具で固定している。

落下物から身を守る天井はもちろん、頭や足を守るガードもついている。

 

すのこ状の床板の上に布団を敷くと、天蓋付きベッドのような外観となる。

セミダブルサイズや介護ベッドが収まるサイズもあるほか、オプションで床下収納箱や手すりなども付けられる。

宮田鉄工(愛知県岩倉市)の「剛健」はシングルベッドが2台入る6.4平方メートルの耐震シェルター(税抜き38万円)。

木造住宅の1階寝室に設置することを想定している。

上から3トンの砂袋を落とす衝撃を加え、さらに水平方向に圧力を加えても耐えられる強度を、試験で確認済みという。

いざというときに逃げ道を確保しやすいよう、入り口を四方に設けている。

組み立てと設置は基本的に1日で済む。

 

防災・危機管理アドバイザーの山村武彦さんは「今回の熊本地震では、比較的新しい住宅も倒壊しており、さらなる耐震化を考える必要がある。特に建築基準法の耐震基準が現在より緩い、1981年以前に建てられた住宅は耐震化が急務だ。

古い家に住んでいる場合、夜は2階で寝るとしても昼間は1階で過ごしているなら、生存の可能性を高めるため家具等の固定と合わせ、1階に耐震シェルターを設けることは大切だ」と話す。

 

東京都耐震化推進担当課の三宅雅崇課長も「耐震補強工事を行って建物の倒壊を防ぐのが一番望ましいが、人命を守るため野路是策としてシェルターも重要な選択肢となる」という。

 

耐震シェルターの購入は、費用の一部を助成している市町村も多い。例えば東京都品川区は、日本大学などと共同開発した「品川シェルター」(40万円前後から)を設置する場合、「65歳以上の高齢者がおり、年間世帯所得が600万年未満で、81年5月31日以前に建てられた戸建て住宅に住んでいる世帯」などを対象に、最大50万円まで助成している。

「東京都耐震ポータルサイト」では助成金を出している都内の市町村の一覧を公表している。

 

このほか、新潟市やさいたま市、横浜市、愛知県東海市など各地の自治体が助成・補助制度を設けているので、購入を検討している市町村に確認してみるといい。

 

 

読売新聞(竹内和佳子氏):平成28年4月23日付け