今も昔も相続税対策のために賃貸マンションや賃貸ビルなどを建てることが広く行われています。

改めて、なぜ賃貸マンションや賃貸ビルを建てることが相続税対策に有効なのか考えてみましょう。

 

~賃貸マンション建設で相続税評価が大幅減~

相続税を大幅に減らすには大きく分けて「相続財産を減らす」「相続税評価額を低くする」「相続人を増やす」の3つが考えられます。

このうち「相続税評価額を低くする」に着目してみましょう。

 

相続財産の評価額は「その財産の取得の時における時価による」(相続税法22条)と定められています。

例えば現金1億円は、だれがどう見ても評価額(時価)は1億円です。

ところが土地や建物の不動産はたとえ相場が1億円のものでも相続税評価額はすっと低くなってしまうのです。

 

これは、土地は路線価方式により評価し、建物は固定資産税評価額で評価するからです。

この路線価方式による評価額や固定資産税評価額による評価額は実際の相場よりもかなり低くなっているのが一般的なのです。

 

例えば現金3億円で土地(更地)を購入したとします。

この土地を路線価方式で評価したところ、2億円の評価額になったとします。

さらに、この土地に3億円の借金をして3億円の賃貸マンションを建てたとします。

 

すると土地は「貸家建付地」という評価になり、更地の価格の82%、すなわち1億6400万円の評価額になります。

また、建物は、固定資産税評価額を基に「貸家」としての評価を行います。

これがおおよそですが、1億500万円程度の価額になります。

 

合計すると、「土地(1億6400万円)+建物(1億500万円)-借入金(3億円)=▲3100万円」となり、当初の現金資産3億円に比べて、大幅に評価額を下げることができます。

 

これが建物を建てることによる節税方法の概要です。

 

~収益力、資産価値を考慮することも重要~

もちろん、現金や借入金で賃貸マンションを建てたり購入したりすることについては、リスクも伴います。

不動産自体の価値が暴落してしまう可能性も考えないとだめですし、また、中古物件を購入した場合は、多額の修繕費が必要になることもあります。

そもそも入居者が決まらず、予定していた家賃収入が見込めなかった場合、銀行への返済に苦慮しているような話も聞きます。

 

相続税対策のみではなく、その物件の将来にわたる収益力、資産価値について十分考えることが重要です。

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28年5月号RealPartner(全宅連・全宅保障):新日本税理士法人 税理士・池尾彰彦氏